「情報の地図」を作ると、ある情報を自分の頭の中でとらえる際に、言葉ではなく平面の図としてとらえることができます。たとえば、A、B、Cという3つの情報を覚えなくてはいけない時、多くの人はそれぞれ別々に丸暗記をするでしょう。その場合に、AとBの関係や、BとCの関係には、あまり興味を持ちません。しかし、実は情報というのは、それぞれの情報と情報の間の「関係」が全てです。たとえば、「昔々、おじいさんとおばあさんが住んでいました。おばあさんは川に洗濯に、おじいさんは山へ芝刈りに行きました。おばあさんが川で洗濯をしていると、川の上流から桃が流れてきました。その桃を切ったら桃太郎が出てきました……」という昔話。Aを「おばあさんが川へ洗濯に行ったこと」とし、Bを「桃が流れてきたこと」とし、Cを「桃太郎が出てきたこと」だとしたら、AがあるからB。つまり、おばあさんが川に洗濯に行ったからこそ、桃に遭遇できたし、BだからC、つまり桃に遭遇したからこそ、桃太郎が出てきたのです。AならばB、BならばC。桃太郎のように単純な話ならば、もともとの話(情報)自体が一次元的構造なので、一次元で認識し、覚えてもかまいません。まだ字を読めない小さい子どもでも、昔話をすぐに暗唱してしまうのは、昔話の要素を俳成する情報同士の関係が、極めてシンプルだからです。しかし、すべての情報が昔話のようにシンプルな構造になっているかというと、そうではありません。AとBが互いに相反するもので、AとBを含めたものをCと言う。そんなことは、世の中にたくさんあります。そういう場合、個々の関係が曖昧なまま、なんとなく覚えて、それで本質をわかったような誤解をしてしまうことが非常によくあります。ですから私は、大人も子どもも、A、B、Cを一次元でバラバラに丸覚えをして終わらせるのではなく、二次元的に情報をとらえて覚える地図思考をお勧めしたいのです。AとBが相反するものであり、AとBをひっくるめたものがCなのだ、という地図を頭の中に思い浮かべてそのまま覚えれば、何か必要性があった時にすぐその情報が取り出せます。そして何より、関連づけて図にして覚えるというやり方は、文字情報だけに頼らず、脳のさまざまな部分を関連づけて記憶するので、覚えたものを取り出す引き出しが多くなり、後でその情報が使いやすくなります。私は、子どもが使用する全ての教科書や参考書が、このような情報の地図の形になってほしいと思っています。しかし現在の教科書や参考書は、何でもかんでも文字になっています。ですから、小学校中学年頃、抽象的な概念を把握できる脳の発達時期を迎えたら、文章を見て自動的に頭の中で情報の地図を作る癖をつけてほしいと思います。それはどんな情報でも、です。たとえ桃太郎のような単純な情報でも、図にして認識した方が、はるかに桃太郎の本質に遣ることができるのです。