エステの現実を話してみよう

2011.04.12

彼は、どうしてお金を払ってまで私が痩せたいのか、理解ができないと思っていた。だから私は通いはじめてから、ずっとその話には触れないでいる。しかしもうそんなことを言っていられないほど、地獄のような深みにはまろうとしていた。彼がどう言うかは分からないが、エステの現実を話してみようかと思う。被害に遭う人がただ欲深くて馬鹿なのではなく、地獄のような思いをしていることを……。そして私も、もうすぐそうなるかもしれないということを。「効果はあると思うんだけど、いろんなコースの勧誘がすごいの。しかも最初は何も言わなくて、あとからこういうコースがあるって言いだすの」「それはしょうがないよな、痩せたいと思っている人が来ているんだから、つけ込まれるさ」「うん。その勧誘の仕方に問題があって、お客さんから別のお客さんに勧誘を強要したりね、ことわれないように追いつめたりするんだよね。それにことわると打ちのめされるほど嫌みを言われ、他の客と差別がはじまるんだよ」「なるほどね」彼はエステティックサロンの実態に興味があるらしく、ふんふんと聞いている。私は話しながら、言いだしたらもう止まらない気がしていた。「それにね、ちょっとでも体重が増えると野菜を取りすぎたんじゃないかとか、水の飲み過ぎだとか、何でもお客さんのせいにするの。またそれを他のお客さんの前で言うんだよ」「なるほど。自分たちのせいにされないようにだろう」「うん。それでコースの途中で今度は切り札を出されるの」「切り札?」「このコースが終わったあと、通い続けないともとに戻るって」「へええ、それはひどいなあ。やっぱり痩せるのは一時的なものだってこと?」「それはまだ分からない。ただ急に痩せさせるわけだから、もとに戻りやすいって言うの。だからコースを追加して、その痩せた状態を体になじませないとだめだって言うんだよね。それでみんな焦って、追加しちゃうんだよね」私は小さく溜息をついて、まるで潜水艦の中にいるような店内を改めて見回した。「効果があるならなあ、いいと思うけど。もとに戻らないっていうわけでもないのに、借金をつくるのは危ないよな」そこで髭を生やした店員が、彼氏のグラスをさっと下げると、なみなみと注がれた新しいロックグラスをコースターの上に置いた。「結構、高いんだろう?」「うん」「いくらかかっているんだ?」彼は顔をしかめて私を見据えた。私はとても彼の視線を受け止める勇気がなくて、茶色いバーボンから少し飛び出ている、形のいびつな氷を眺めていた。「もう80万円……」彼氏はふんふんと首を上下に振ると、さほど驚いた様子はなかった。エステサロンの実態よりも、借金の金額を知ったときのほうがきっと驚くと思った。ところが「まっ、そんなもんだろうな」と、美容価格にうといはずの彼が納得しているようだった。「じゃあ、今のコースが終わってそのあと次のコースを追加したら、100万円以上になるってことだよなあ。100万円以上のローンを組むのはよくないな」私は頷きもせず、まだ氷を見ていた。やっぱり彼氏に言ったことは、失敗だったかもしれない。ここでもうやめとけと言われて、そのあとでどうしても追加したくなったとしたら、彼に内緒でローンを組むことになるだろう。
[人気サイト]
PMKエステティックサロン銀座店

藤沢のエステサロンPMK

エステティックサロンPMK仙台店