私が荷物の運び出しの打ち合わせの電話を店にしようとしたとき、滞納していた事業主がまだ帰らずにいたのです。そして彼は、「俺が買うから、このままにしておいてくれ」えっ?だって、支払いを滞納したからこういう結末になったのではありませんか……と問いかけたとき、彼は手提げバックから無造作に百万円の札束を出して、「これで足りないか」私はびっくりして、返事ができませんでした。彼は、私が八十万円で買ったことを見ています。私が迷って返事に窮していると、さらに二十万円手提げバックから出して、「これならいいべさ」さすがの私も(どういう「さすが」だ?)、品物も動かさないで五十%の利益が得られるのだから当然、文句なし。お互い極秘だぞという申し合わせをして、ニコニコ顔で帰ってきました。しかし、よく考えてみると、一番もうかったのは彼ですね。五百万円の品物を合法的(?)に百二十万円くらいで手に入れたんじゃないですか。ひょっとしたら、彼はその道のプロだったのかもしれません。すると私の役回りは?べつに非合法なことは一切やっていないわけですが、なんとなく後味はよくないですね。もっとも、この後味の悪さは、前に書きました税金の滞納者のオドシに当局の片棒を担がされたときと同じような性質のものですが。